2011年12月7日水曜日

鳥越俊太郎講演記録

人権週間記念のつどい。
 大東市サーティーホール。
 12月7日。19時開演。
 無料。
 たまたま券が一枚余っていたので行くことにした。
 サーティーホールには初めて入る。大きい。
 ほぼ満員。
 年齢層はかなり高めだった。

○ミルキーウェイ演奏
 曲目
 赤とんぼ。ジムノペティみたいなアレンジだった。
 ダニー・ボーイ
 ハナミズキ
 月の光
 ナチュラル(オリジナル曲)
 
○市長あいさつ
 来場に感謝、日頃からの協力にも感謝、ミルキーウェイも良かった。音楽は良いものだ。
 21世紀は人権の世紀と言われて久しいが、いまだに悔しい思いをしている人がいて、それに気づかない人が多い。
 人権を大切にするとか守っていくというのが大切。これからも仲良くして行って広めていってほしい。
 何かあれば行政の方にもなにか言ってくれ。よろしく。
 今日は鳥越先生がきている。報道のベテランである。ベテランのどういう報道をしてきたかを語ってもらう。
 さきほど会ってきたが、若い。

○市議長あいさつ
 (おおむねは市長と同じ)
 ミルキーウェイの人には市議会でも本会議で演奏してもらった。
 これから市議会の方にもきてね。がんばるから。
 鳥越先生はハンサムだ。
 本日はまことにおめでとうございます。

○鳥越俊太郎講演
 いいですか?こんばんは。こんな広い会場にこんなに人が入っていて、久しぶりだ。
 時々医者の学会に話をしに行く。医者は人の話は聞きたがらない。医者は来ない。看護婦さんやスタッフはくる。
 満員になっていると燃えてくる。
 こういうタイトルで話すのはむずかしい。顔を見てしゃべることを考える。
 (客席から声がかかる。声の方にむかって)お父さんいくつ?59。若い。来年には私は六回目の歳男。歳男は六回目で終わりだね。7回目は難しい。自分の命は難しい。6回目でしまいかと思って後悔のないようにやっていきたい。
 歌でも歌いたい。いいですか?(拍手)
 1曲だけ。今年は3月11日がありました。日本中が東北を考えた。あの光景をみて何も考えなかった人はいない。日本は戦後、66年。広島、長崎、空襲と何万の人が死んでいる。それから戦後、万単位で人が死んでいくことはなかった。
 本当に平和に暮らしてきて、一挙に崩壊したのを目の当たりにした。高齢の方は別にして若い人にははじめての光景だった。
 津波の風景は焼け野原によく似ている。そういうのを体験して色々と考えた。東北はある意味で日本のふるさと。そのふるさとがやられた。そこでふるさとをしのんでなにかを歌いたい。九州の歌、宮崎県の民謡で刈干切唄。収穫が終わると祝言になる。嫁取りなんていうと怒られるが、あぜみちにちょうちんがでてくる。そういう風景を頭に描きながら聞いていただきたい。
 楽器はないのでアカペラで。
 (鳥越俊太郎歌謡ショー。)
 つい気持ちよくなって歌ってしまった。報道と人権の話に戻る。最近感じたのは府知事選で一部週刊誌が橋本さんのことを書いた。お父さんの、その前の代のことまで取材して書いていた。
 ぼくはびっくりした。日本では人権のことを一生懸命にとりくんできたはずなのに現実には依然として後世になっても被差別部落は残っている。特に西日本では残っていると聴いている。
 政策として打ち出されているので表面的には出てこないが、一枚皮をめくれば差別は生き延びていて、そこにまさに表に出た。
 週刊誌はお父さんの前の代はある被差別部落民だと取材した。橋下(ハシシタ)さんはそこにはたくさんいる。お父さんはヤクザ。
 ある女性と結婚をして、ハシシタはやめてハシモトにしたと書いている。そういうプライベートを書いてしまう週刊誌の人権感覚はどうなっているのか。
 週刊誌に言わせればお父さんはヤクザだったが、なぜそうなったのかを踏み込んでいくと被差別部落に行き着くのだとなるだろう。
 そこに踏みこんでもいいものだろうか。それを許してしまう人権感覚。東京のものだと思う。大阪ではできない。
 しかし、橋下さんは見事しかイイようがない。ヤクザだから何が悪いと開き直って武器にした。応援しようという気持ちが高くなって表が伸びたのかもしれず、あれがなければ票差はもっと小さくなっていたかもしれない。
 大阪の東京に対する意識、対抗心、みなさんもそうだと思う。阪神と巨人がおもしろいのもそれが背景になっているかもしれない。
 ちょっとうがちすぎているのかもしれないが、考えさせられた。
 日本の人権感覚は進んでいるか。国連からは何度も人権制度の遅れを勧告されている。代用監獄というのがある。(代用監獄の説明)やっていない人がやっていないといい通すのは本当に稀だ。そして、有罪になる。日本の有罪率は97か8%だ。やっていないと言っても裁判官が認めない。冤罪の温床。制度を改めなさいと何度も言われているのに変わらない。何ら日本政府は処置していない。民主党になっても変わらない。本当にどじょうだと思う。ぬるぬるしていてつかみようがない。冤罪は制度で発生している。そこに報道が加わってくる。
 足利事件、村木アツコさんの事件のあった時、マスコミは何を書いていたか。
 通常、裁判では警察の調書は使えず、検察の調書が採用される。弁護士は調書の証拠の不採用と代わりに証人として供述した人を呼ぶように訴えた。証人は調書の供述をすべて覆した。最終的には証拠として一番肝心な部分が不採用になった。傍目に裁判での旗色の悪さが見えた。
 それでも、メディアはあくまでも村木さんを悪人として伝えた。裁判官としても無罪は勇気がいる。無罪を出すとその裁判官は出世しない。その中でも無罪になる。無罪になった直後に朝日新聞が大阪地裁主任検事の証拠改ざんをスクープした。その日のうちにその検事は逮捕された。上も逮捕された。史上まれな珍しい事件だ。
 私にも因縁がある。
 10年以上前、検察の裏金を取材していた。調査活動費として出費されていた資金のいくばくかが飲み食いや豪遊に使われていたのではないかと取材していた。その中で顔出し実名でインタビューを受けるという検事が出た。インタビューの約束の日にその検事は微罪で逮捕された。逮捕の指揮をとっていたのは今回、逮捕された上役だった。
 ここからもマスコミの諸刃の剣を見れる。人を踏みにじるかもしれないし、悪行を暴露するものかもしれない。
 太平洋戦争で何人死んだか、310万人くらいだとされている。兵隊が250万+民間人60万人。
ドイツはここまでいっていない。アメリカは兵隊が40万人死んでいるが、民間人ではほとんどいない。旧ソ連は一千万人死んでいるが、それを除くと日本は一番大きな被害を出している。
 マスコミは何をシたか。マスコミは煽った。国民は煽られた。
 しかし、一番怖いのは国民。
 北朝鮮が戦争をするのなら最後の最後のやぶれかぶれ。昔の日本もそうだった。その時マスコミのすることは煽ること。
 真実なんてわからない。
 これまでわかったこともない。
 私は私が癌になったことは真実だと言えるが、それ以外のことはとんとわからない。
 時間に追われ、不十分な取材でやっている。報道は欠陥商品だと思う。その中の人間はこれが真実だなんて思っちゃいない。近づこうとはしている。
 事実と真実は違う。
(ペットボトルを手にして)今ここに見えているのが事実だ。しかし、真実とはいえない。事実をいろいろな角度から見ていかないと真実はわからない。
 報道は事実、真実ではない。もっと色々と見ないと真実は見えてこない。中の人間はあまり考えていない。事実を出す。
 見せ方を変えて真実に近づきたい。これを頭から信じてはいけない。ちゃんと見て行かないと。常に疑え。
 そうしないとあっという間に太平洋戦争みたくなる。そういうことが起こりやすい。
 小泉改革。抵抗勢力とか言っていた。小泉劇場。マスコミもおもしろがって報じていた。小泉チルドレンという人たちがたくさんでてきた。小泉さんのあと、良くなっただろうか?
 民主党への政権交代もそう。変わったか?政権としては対米関係は変えていない。むしろ悪くなっている。首相は検討すると行っているが、このままアメリカのペースにひきずりこまれて国民皆保険が崩壊するのではないか。アメリカみたいな医療制度になっても良いのだろうか。
 載せられて投票したとしても、良いとは言えない。
 自民党が良かったかといえば、そうでもない。
 じゃあ、どうするのか。わからない。
 非常に難しい時代。官僚が色々やっているのが現実。
 私が言いたいのはマスコミは事実は伝えているけど、真実は伝えない。眉唾をつけてみて欲しい。


 質疑応答はなかった。

1 件のコメント:

  1. 講演聞きながらとっていたメモをおこしたものです。
    こんな内容の話を聞いたということの備忘録として

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